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修学旅行だけではもったいない、沖縄戦から学ぶひめゆりの塔

明るいイメージだけではないもう1つの沖縄

沖縄には美ら海水族館をはじめとする観光スポットが数多く存在する。海は綺麗で暖かく、地元沖縄の陽気な人々が笑顔で迎えてくれるという明るいイメージの沖縄だが、そこからは想像できない、暗く忌まわしい過去があるのをご存知だろうか。地図で見ると沖縄本島のほぼ最南端に位置するひめゆりの塔では、そんな凄惨な戦争の様子を知ることができる。

沖縄戦から学ぶひめゆりの塔

太平洋戦争の爪痕

1941年に起こった太平洋戦争で沖縄は、甚大な被害を受けた。沖縄にアメリカ兵が上陸し、侵攻が始まったのは太平洋戦争が始まってから4年後の1945年。皮肉なことに、終戦を迎えたその年である。

その前年の1944年には、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の教師と生徒で構成された、「ひめゆり学徒隊」と呼ばれる看護要員の集団が結成された。

ひめゆり学徒隊

「ひめゆり学徒隊」の「ひめゆり」とは花の名前ではなく、沖縄県立第一高等女学校の学校広報誌の「乙姫」と沖縄師範学校女子部の学校広報誌の「白百合」とをあわせて「姫百合」と呼ばれたことに起因する。

アメリカ軍が沖縄に上陸する直前の1945年3月23日に教師、生徒合わせて240名で結成されたひめゆり学徒隊は、沖縄陸軍病院に配属された。そしてその数日後の1945年3月26日から始まった沖縄戦だが、瞬く間にアメリカ兵に攻め入られ、5月末には首里にあった司令部は陥落を余儀なくされてしまう。

その間、那覇近郊の数か所に分散配置されていたひめゆり学徒隊だったが、敗戦の色がいよいよ濃くなってきた6月18日に突然解散命令が下った。

しかし、逃げ場もなく、助けに来てくれる人もいない状況で、その後1週間のうちに、240名いた学徒隊のうち136名が犠牲となってしまった。その犠牲者を祀るために建てられたのが、あの「ひめゆりの塔」である。

戦争の痛みを感じられる場所

修学旅行で訪れる機会の多いひめゆりの塔だが、観光地である国際通りなどとは違い、決して楽しい施設ではない。ましてや、戦争を知らない世代が興味を持つのはなかなか難しいかもしれない。

しかし、修学旅行生である学生たちとちょうど同じ年齢の学徒隊が、戦争によってその尊い命を落としたという事実を知れば、少しは興味が持てるのではないだろうか。

ひめゆりの塔自体はきっと皆が想像しているものよりずっと小さなものだ。しかし、その意味の大きさは計り知れない。

ひめゆり平和祈念資料館

ひめゆりの塔に隣接する、ひめゆり平和祈念資料館では、ひめゆり学徒隊の皆が実際に働いていた陸軍病院の様子、生存者の証言VTRや写真など、当時の悲惨な状況を肌で感じることができる。目をそらさずに、見て感じてみてほしい。平和記念公園内には、ひめゆりの塔の他に島守の塔という慰霊碑もあり、こちらには当時の沖縄県知事だった島田叡氏をはじめとする458人が合祀されている。

戦争を知らないことは悪いことではない。しかし、知ろうとしないことは過ちを繰り返すきっかけにもなり得る。過去の犠牲から、未来の平和へとつなげていくために、是非ひめゆりの塔を訪れて戦争の恐ろしさ愚かさを今一度考えてみてはいかがだろうか。

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