子どものために餅を置いて去る、祝福の神様。甑島のトシドン
「なまはげ」に似た行事、国の重要無形文化財に指定
鹿児島県薩摩川内市下甑町では、12月31日、伝統行事「甑島のトシドン」が行われる。
この「トシドン」は、大晦日に地域の家々を訪れ、餅を置いて去るという祝福の神様のこと。秋田県の「なまはげ」に似た行事であり、国の重要無形文化財に指定されている。
3歳から8歳の子どもがいる家々へやってくる
下甑の各地において「トシドン」は、天空や高い山や岩の上から、首のない馬に乗ってくるという。里へ下りた「トシドン」は、シュロの皮やソテツの葉などを使って作られた鼻の長い恐ろしい面を被り、3歳から8歳の子どもがいる家々へやってくる。
家の前までやって来た「トシドン」は、外から子どもの名前を呼んで戸を開けろと叫んでから、家の中へ入ってくる。そして、子どもたちの日頃の行いで良いところを褒めたり、あるいは諭したりした後、「年餅」と呼ばれる大きな餅を与えてどこかへ去っていくという。
ユネスコの無形文化遺産にも登録
子どもたちを立派に育てたいという願いから発したこの伝統行事「トシドン」は、地域ぐるみの行事として継続し、1977年には国指定の重要無形民俗文化財となった。また2009年9月には、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。
「甑島のトシドン」は、鹿児島県薩摩川内市下甑町手打・片野浦・青瀬・瀬々野浦にて開催。
(画像は甑島観光協会の公式ホームページより)